株式会社百花園
百花園ブランドをみんなの手に、コンセプトの共創デザイン
コンセプト/ストーリーテリング / Company Branding
港町新潟市で、1882(明治15)年に創業した老舗のお菓子屋「百花園(ひゃっかえん)」様。7年ほど前から商品パッケージや店舗紹介リーフレットなど、少しずつ店のリブランディングを進めてきました。今回のプロジェクトはその集大成。140年以上営業を続けてきた百花園様にはどのような強みがあり、そして将来どんなお菓子屋を目指すのか――。スタッフの皆様と共にブランドコンセプトを見直し、百花園ブランドを社内外に伝えられる会社を目指してコンセプトシートを作成しました。
STORY
会社の未来を語れる、パワーに満ちた組織を目指して
これまでに百花園様のパッケージやWEBサイトなど、さまざまなビジュアルを整えさせていただき、改めて組織としての強みを見直し、ブランドとしての価値を整理したいと考えたことが今回のプロジェクトのきっかけでした。
およそ6カ月掛けて行われたプロジェクトの目標は「経営陣やスタッフの頭の中にあるブランドを視覚化すること」。経営陣だけではなく、スタッフの皆様とも会社の将来を一緒に考えることで、「百花園らしいお菓子ってこうだよね」「こういう接客だよね」「こういうサービスだよね」と一人一人が語ることができる組織を目指しました。
百花園様が得意とする和菓子ですが、「若い世代の方々にもっと和菓子を楽しんでほしい」という思いが太田専務の心の中にはありました。和と洋の要素を織り交ぜた新しいお菓子を次々と販売する百花園様にとって、将来のユーザー像を見据えることはとても重要な作業です。
歴史ある企業こそ、組織の中で代々受け継がれてきた知られざるカルチャーがあります。上手く言語化されてこなかったそのカルチャーを汲み取り、一緒に磨き上げていく。これまでと違うものに刷新するわけではなく、さらに歴史を重ねていくためのアップデートを、プロジェクトを通じて進めてきました。
詳しいプロセスはCOLOGUEのサイトからご覧いただけます。
百花園様のお菓子を食べると心に湧き出る気付きやおいしさを「舞う花びら」で表現しました。ブランドコンセプトを読んでからもう一度花びらを見ると、吹き出し型であることに気づけるようになっています。これは、百花園様のお菓子を食べたあとに感じるちょっとした発見と同じ体験がコンセプトシートで出来るよう意図しています。
ワークショップやパソコン操作に不慣れな方でも活用いただける、オンラインワークショップツール設計とファシリテーションサポートを行いました。
ワークショップが終わるごとにイラストを交えたレポートを作成し、作業の振り返りになるだけでなく、社内でもプロジェクト内容を共有できるように心掛けています。
Voice
百花園 専務(次期5代目店主)
太田新太郎 様
■ プロジェクトで印象的だったこと
これまでは自社の方向性や目的、理念などがざっくりとしていて、社員にもしっかりと共有できていませんでした。しかし、das.様からご協力をいただき、自分たちではなかなか気付くことが出来なかった自社の強み(百花園らしさ)を一緒に考えていけたことで、目標や百花園の存在意義が明確になりました。
今回のプロジェクトを終え、お客様はもちろん、社員への共有も伝わりやすくなったと感じています。今後、進むべき方向性に迷った時は、作っていただいた軸に立ち戻ればいい。気持ちも楽になりました。
■ プロジェクト後の社内の反応
「全社員が共通の目的を共有して経営者のような『全社視点』!!」とはまだいきませんが、以前よりも会社や和菓子業界の理想の未来を考えて仕事に取り組んでいるようになってきたと感じています。
今までは「お菓子を作る」「お菓子を売る」が仕事と考えていましたが、「作り手も贈り手も人に語りたくなる想像をちょっと超える話題性」という百花園の価値を考えていただけたことで、「お菓子で心の花やぎを届ける」ことが仕事で自分たちの存在する意義というように、意識的に変わってきたと思います。
■ プロジェクトを終えて感じること
改めて百花園の現状と将来のことをじっくり考えるきっかけとなりました。
今までは経営や商品開発、お菓子屋としての想いは何とんなくの感覚的に考えていました。感覚も大切ですが、上手くいかない時や方向性がぶれて迷った時、いろいろなところでロスが発生していたと思います。やはり、しっかりと数字や分析、将来の目標を明確にして全社員と共有していくことが最も必要なことだと改めて実感しました。
また社員へのインタビューで、社員一人一人が抱いている会社への想いや大切にしていること、未来についても、いろいろと考えてもらっていたこと、新たな一面まで分かり、とてもうれしく思いました。
■ 未来への想い
理想とする百花園を目指して、今回のプロジェクトで決定した「ブランドコンセプト」という軸をしっかり守りながら、時代の変化に対応し、働きやすい職場、和菓子―職人の地位向上を目指し、憧れの職業にしていきたいです。
この度、菓銘を持つ生菓子(煉切・こなし)が国の登録無形文化財に登録されました。県内外のお客様、弊社に関わる取引先の会社様、社員やその家族など、たくさんの方に愛され、認めてもらい、ゆくゆくは世界中の人々に知ってもらえるお菓子屋になりたいです。
■ プロジェクトを通して感じたdas.の印象
感謝しかありません。今回、プロジェクトチームとしてご協力いただき、自分たちでは気付けなかった百花園の魅力を親身になって聞いてくださり、そこからご提案や私どもと違った目線からのご意見までいただき、大変勉強になりました。
また市場環境や業界団体資料、同業他社との比較を細かく丁寧にシートやマップにまとめていただき、ミーティング後には社員と共有しやすいようレポートまで作成してくださいました。百花園のことを真剣に考え、支えてくれる。「頼れる存在だ」と改めて思いました。
私自身がぶれまくりで考えがまとまらないこともありましたが、本当に長い期間、一緒になって百花園のことを考えていただけたこと、とてもうれしかったです。
これからの10年、20年先もお付き合い、ご協力をお願いしたいと思っております。そして、このプロジェクトによって将来、理想のお菓子屋になれるように恩返しができればと思っています。おこがましいですが、私がぶれてしまったときはまたご助言お願いしたいと思います。
TEAM
- BUSINESS DESIGNER:
- TOMOFUMI KAWATA
- DESIGN RESEARCHER / CONCEPT DESIGN:
- SATOMI FUJII
- BRANDING DESIGNER:
- SAYURI ADACHI
- GRAPHIC DESIGNER:
- KAHO NAKANO
MEMBERS
Business Designer
T.Kawata
Art Director
S.Adachi
Graphic Designer
K.Nakano